そっと、ロナードが指を突き出した。中指、そして両隣の指が立っている。
その瞳は、テーブルを囲む彼らではなく、柱にかけられた古ぼけた時計に向けられていた。
同じく、それを見ずに、グラスを手に取るザード。に、と呟く。
「いち、よし」
最後の数字を口にし、ハントはにいっと笑った。
そのまま、くいっとグラスを呷る。
同時に、柱時計が鐘を打つ。
「あ、おっさん、おい!」
ザードが小さく唸りそんな彼を睨んだ。
その横で、ロナードも同じようにグラスを呷る。
「…ロナードまで!」
「うるせえな、さっさと飲めよ」
テーブルの上に置いたグラスに次の酒を注ぎながら、二人の間に手で割って入るハント。
寄った人間にやや上目遣いで眉間に皺を寄せたままのザードを見上げる。
「おっさん、お前な…誰が」
こつん、彼の額が叩かれる。
「ハッピーバースデイ、ザード」
ハントが軽くウインク。それに合わせたように、ロナードが料理の乗った皿を彼の手許に寄せて口を開く。
「ハントはこの日を楽しみにしていたんだ、許してやれ」
「だったら」
「…おれもだ」
ばつが悪そうに机の上を睨むザード。いつの間にやらぷっとふくれてしまっていた頬の空気を抜くと、グラスを無理矢理二人のそれにぶつけた。
二人は僅かに目を丸くしたが、すぐに彼のグラスに、軽い音が二つ、響くのだった。
20090304-ザード、20歳の誕生日に。
3人で9題のお題/From:シージェイズさん
- 作品名
- 06 ラストカウント3(フラハイ圧縮)
- 登録日時
- 2009/03/04(水) 00:00
- 分類
- 文::ジャンルごちゃまぜ9題のお題