ゆられゆらり。懐かしい親の背中、っつーの?
俺様だってそんなの嫌いじゃない。
でも、ありえない。16、今度の正月には俺様、17だぜ?
そもそもだ、今、誰かにおぶられるような状況か?
……ゆっくり俺様は目を覚ました。
まだオヤジの背中の夢と、混ざり合った現実。
ただ、おぶられてるのは確実。
じゃあ、誰が?
「起きた?」
小声でその背中が話しかけてきた。
「……なおりん?」
ん、俺様をおぶっているのはなおりんか?
「うん、あっ、」
なおりんは振り返った。肩に顎を乗せていた俺様と鼻がぶつかりそうなところに、あいつの顔がやってきた。
「大丈夫みたいだね」
「……ちょっとあちこち痛いけどな」
「それはあきらめてよ」
なおりんは前を向いた。そして口を開く。
「全身丸焼きみたいなもんだったからさー」
……思わず、げっ、と声が漏れる。
「声大きいよ」
「いやーごめん、そっか、じゃあ」
足をばたつかせる俺様。
……なぜか、あいつは驚いた顔で俺様を見つめた。
「降ろしてくれよ~」
「無理だよ」
「なんでだよ、もう歩けるし戦えるだろ、俺様このままとか戦力がた落ち?って感じだし?」
それは、普通の理由だったのに、急に、あいつ、むっとした表情で俺様を睨んだ。
「……また丸焼きになるだろ?」
だから、このまま!そういうあいつの顔は、いつの間にやらいたずらっ子みたいな表情をしていて。
「恥ずかしいだろ?」
「じゃあそれがお仕置きだね」
俺の言うコトなんて全く無視するから、悔しくなった。
「ちっ、いいとこは南条やマークに譲ってやるか!」
でひゃっと笑って、俺はしかえしをした。
あいつの、耳の後ろにそっと唇で触れる、ささやかなしかえし。
びくっ、と反応するあいつ。
……それだけ?と首を傾げた俺様の耳に、あいつの低い声が響いた。
「トリッシュの泉にたたき落としてやる」
俺様は思わず噴き出してしまった。
それぐらいですむなら、……何度でも?
- 作品名
- つなびらくがき。(P1P・主人公&ブラウン)
- 登録日時
- 2011/09/17(土) 01:04
- 分類
- 文::Persona(1~3P)