いらっしゃい。僕は審神者。さにわ、っていうんだ。
……そうか、キミは初めてだったね?ちょっと話をしようか。
うん、……あ、ちょうどいいところに。
「なんですか」
トマトあったよね?トマト。
一かご持ってきてくれないかな?
「……さっき食べてませんでしたか?」そうだっけなあ。
まあ、いいじゃないか。
「あ、新しい仲間」
そう。そういうことなんだよ。
「……俺だって食べたいんですからね」
あ、ああ、ごめんって。
「冗談ですよ、はい」
おや、早いね?
「刀鍛冶から聞いていました」
成る程。ありがとう。
「じゃあ俺は畑に行ってきます」
はーい。あっ、ごめんね。ん?
ああ、あの子もそうだよ。
キミと同じ。刀さ。
……そうだった。僕は刀鍛冶から刀を受け取って、話をするんだ。キミ達に、何より先に。
大切な話だからね。
……何故かって?……僕は、知ってると思うけど、キミ達の初めての主じゃない。
キミ達には全員、今は亡き主がいた筈なんだ。
……わかったかな?
そして、僕の仕事は、過去で戦うこと。
それはつまり、キミを心身共に傷つけること。
キミの前の主が戦死したなら、きっと目の当たりにするだろう。
病死なら、そこにいけば……でも無理なんだ。
だから、こうやってひとりひとりと話をする。
キミは、いいのかって。
ん?嫌だって言ったら?
……そうだねえ。畑をやって貰おうかな。
なんで畑かって?
僕はトマトが好きなんだ。
トマトを沢山作ってくれたら嬉しいな?
え?それだけ?って?大変だよ、畑は。
……僕『たち』はね、せめてキミ達にはたらふく食べて貰いたいんだ。実を言うとね、僕は、子孫を成すことが出来ないんだ。
もうずっと、そればっかりはどうしようもない。
だから、余計にね。
きっとそれは家族という名のエゴ、……だとは思ったけど。
ああ、ううん、答えは急がないから。
でも、キミの言葉で。同情なんて要らないよ。
これが僕の責任でもあるからね。
……とりあえず、これで今日の僕の話は終わり。
さ、召し上がれ。
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どちらかといえば設定覚え書きのようなもの。
なんとなく、男審神者も女審神者もしっくりとこなかったもので。
- 作品名
- 個人面談(とうらぶ/審神者のひとりがたり)
- 登録日時
- 2015/02/16(月) 03:50
- 分類
- 文::その他