「それにしても」
ラナが走り去ったのを見送り、レイナスはロナードの顔をじっと見つめる。
その瞳は驚くまでに彼を射貫かんばかりのなにかに染められている。
「何が言いたい」
「いや、……」
しばしの沈黙、そして堪らない、といった風にくくく、と笑い出す。
「ごめん、ちょっとおれの口からは…と、とても」
「……親友にも言えぬ事なのか」
そのまま踵を返そうとするレイナスの腕を掴み、自らの方へ引き寄せる。
勢いがつき、彼の胸元へと飛び込んだ、レイナスの首もとへ腕を回し、
「このままだと実力行使になるが」
そう呟いた。
腕を、胸を、伝いレイナスの「笑い」が彼に伝わる。
「だ、だってさ」
ロナードの腕を払い、彼の正面に立ち、レイナスは再び吹き出した。
すっと目が細くなったロナードに、ヴァイスが言ってたんだけどな、と前置きをして彼は「それ」を口にした。
「さっき現れたロナード達を見て、こう言うんだよ」
腕を組み、銀髪を細かく揺らしながら、彼は自らが驚くほどに感想を素直に口にする。
「ロナードの両脇、あれは花…ですか?それとも雑草?」
目を丸くし、立ち尽くすロナードに、レイナスは再び吹き出すのだった。
20090304-花は乙女、雑草は…?
3人で9題のお題/From:シージェイズさん
- 作品名
- 02 両手に野草 (フライハイトクラウディア/ロナード・ハント・ザード)
- 登録日時
- 2009/03/04(水) 00:00
- 分類
- 文::ジャンルごちゃまぜ9題のお題