窓の外を指さし、趙雲はふっと笑った。
「寒梅が咲いている」
だが、諸葛亮は赤く染まった炭の転がる火鉢から離れることなく布をひっかぶった。
「寒い。閉めて下さい」
その様子を見、少しつまらなさそうに、
「軟弱だな」
外界から繋がる光の鎖を断ち切る。いや、断ち切ろうとした。
がしかし、横から伸びる手に、下ろしかけた布の動きを邪魔され、宙に浮いたままになる。
「ああ、あれは確かに立派な寒梅だな」
「だろう、……孟起殿」
微笑む趙雲に、こちらもまた嬉しそうに対応する、手の持ち主、馬超。
「少しだけ、におってくるな」
「結構、距離があるが」
「鼻良いんだぜ」
「ほう、意外だ」
言葉を交わす二人。
遠くの梅の香りを追いながら会話に夢中になる二人には、隙がありすぎて気付けなかった。
「どうなんです」
ずるずると移動した布の塊が、二人の背後より襲いかかろうとしていることに。
- 作品名
- らくがき(平凡な日常の孔明さんと馬超&趙雲)
- 登録日時
- 2013/03/30(土) 02:40
- 分類
- 文::創作三国志-その他